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疾患別解説

ブルガダ症候群とICD

日本心臓財団に寄せられたご相談

num.8335

43歳、 男性: ブルガダ症候群

職場の健康診断での心電図に異常があると指摘され受診、ブルガダ症候群の疑いと告げられました。EPS検査とサンリズム負荷試験を行い、心室細動が誘発されるようならばICD埋め込みを勧められています。時々動悸があり、また洗顔中に失神しそうになったことがあります。家族にも心臓死がいます。
家族のことも考え、医師の勧めに応じようかと思っています。ICDを装着後の平均的な心事故率、装着後の平均生存年数等のデータはあるのでしょうか。また心房細動による誤作動は機械の性能上で防止することはできないのでしょうか。運動制限はどうでしょうか。
日本心臓財団からの回答
ブルガダ症候群を疑う心電図所見を呈する例は、欧米に比べて日本人では多いことがわかっており、およそ人口の0.15%に及ぶとされています。すなわち2000人に3人ほどが心電図を撮るとブルガダ症候群を疑われます。
しかしこれらの患者さんの予後がすべて悪いわけではありません。我が国の調査によれば、典型的なcoved型の心電図(type 1)を認める方で1年間に不整脈発作を起こす率は、心室細動を起こしたことのある方で10.2%、失神発作の既往のある方で0.6%、無症候のかたでは0.5%以下とされています。
 
したがって実際の臨床では、まず典型的なtype 1の心電図が自然に記録されるか、あるいは1肋間上の記録またはサンリズムなどの薬物負荷で記録されるかどうかを確かめることから診療が始まります。
心室細動発作がすでに確認されている例を除き、次に突然死の家族歴のある方、失神発作を起こしたことのある方では、心臓電気生理検査(EPS)を行って心室細動が容易に誘発されるかどうかを確認します。
最終的に植込み型除細動器治療(ICD)を行う適応は、
class I(絶対適応)が心停止からの蘇生例と自然に停止する心室細動が心電図で確認された例、
class IIa(適応があると考える専門家が多い)が①失神発作の既往②突然死の家族歴③EPSで心室細動誘発、のうち2項目以上を有する場合、
class IIb(適応があるとする専門家は少ない)が、上記のうち1項目のみを有する場合、
と考えられています。
 
ICD装着後の生存年数に関しては、まだ長期予後を調べたデータは公表されていませんが、ブルガダ症候群に関しては予後良好と考えられます。
また心房細動や洞性頻脈によるICD誤作動に関してはゼロではありませんが、最近の機種ではQRS波形を解析するなどにより誤作動を減らす工夫がなされており、その頻度は低下してきています。
ただし、ICDを装着すると自動車運転制限や日常生活での様々な制約がありますので、主治医とよくご相談の上、慎重に治療方針を決定していただくのが良いと存じます。

2013年11月21日

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