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不整脈 Question 28

Narrow QRS tachycardiaとwide QRS tachycardiaとはなんですか

頻拍(tachycardia)にはQRS幅が正常のものと幅の広い(QRS幅が120ms以上)ものがあります。そもそも頻拍という言葉自体が漠然としていますが、おおよそ100前半〜200前半程度の心拍数と考えてよいでしょう。そのような心拍数を引き起こす不整脈には、一般的な不整脈である心房細動、心房粗動、心房頻拍、上室頻拍、心室頻拍があります。

心房筋とHis束までの特殊心筋を含んだ領域を回路の首座とする上室不整脈の場合は、通常心電図上のQRS幅は正常(narrow QRS tachycardia)であり、心室領域での刺激伝導系の障害がないため幅が広くなることはありません。

しかしながら上室頻拍でもQRS幅が広くなるケースが存在します。ではQRS幅が広くなる理由にはどのような状態が考えられるでしょうか。日常臨床でよく見られるケースとして次の3つが考えられています。
 1)もともと右脚ブロックや左脚ブロックが存在する 
 2)WPW症候群 
 3)変行伝導
です。このような状態が存在する場合は、心室内での刺激伝導時間が長くなるため上室不整脈であってもQRS幅が長くなるという状況が生じ得ます。

一方、心室内に起源もしくは回路を有する心室不整脈の場合は、心室内の伝導障害が存在し、または異常回路が存在するため不整脈の種類や成因を問わずQRS幅は広く(wide QRS tachycardia)なります。

Wide QRS tachycardia頻拍の診断には苦慮するケースが多いとされています。wide QRSが上室頻拍を成因としているのか、心室頻拍そのものを反映しているのかを鑑別するが難しいからです。これらを鑑別する簡便な手段があれば非常に便利です。

鑑別法としては
 1)以前の心電図と比較する
 2)RR間隔が不規則ではないか 
 3)QRS波の性状を注意深く観察する
といった方法が昔からとられてきましたが、心電図の判読に関して習熟していることが必要となってきます。

筆者はwide QRS tachycardiaと出会った場合、脈波を極力可視化し、それを注意深く観察するようにしています。心室頻拍の場合は心房と心室が違うレートで興奮しているため房室解離が生じています。したがって心房と心室の動きがぶつかる瞬間があったり、心房収縮が一回拍出量に反映されない時相が存在するため、脈波が不規則となるケースが多いからです。心電図をじっくり観察しなくても、救急処置を要する場合は非常に有用な方法となるかもしれません。

Only One Message

Wide QRS tachycardiaの鑑別には脈波の観察が有用な方法となるかもしれない。

回答:小山 崇

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