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感染性心内膜炎とは(2004年発行)

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感染性心内膜炎の予防

企画:日本循環器学会/教育研修委員会
監修:中村憲司 東京女子医科大学循環器内科助教授 
発行:日本心臓財団/後援:日本医師会/協賛:第一製薬

感染性心内膜炎とは

心内膜に疣腫(ゆうしゅ)ができるまで−解説イラスト  

 感染性心内膜炎は、心臓の内側を覆う内膜(心内膜)に細菌の病巣ができて炎症を起こす敗血症のひとつで、早期診断と適切な治療が重要です。
 本来、心内膜はなめらかでつるつるしていますが、心臓病のある人や心臓の手術後などでは、心臓内の異常な血液の流れによって、心内膜に細かい傷ができることがあります。そこに血小板などが付着し、たまたま血液に入り込んだ細菌が付着して増殖すると、いぼ状の感染巣―疣腫(ゆうしゅ)をつくります。心臓弁に疣腫ができると、弁や弁を支える組織が破壊されて急性の心不全などを起こします。また、疣腫のかけらが剥がれて脳の血管に運ばれると、そのかけらが詰まって脳梗塞や脳動脈瘤などの原因になります。脳以外の血管でも同じように塞栓症を起こす原因になります。
 血液中に細菌が入り込む原因は、抜歯など歯科治療や虫歯から口腔内の常在菌が侵入する場合や、泌尿器科や産婦人科の手術の際に侵入する場合などが考えられます。通常は細菌が血液内に侵入しても、白血球が働いて退治してくれますが、一時的に心臓に入り込んだ菌が、心内膜に傷があるとそこに付着し増殖して心内膜炎が発症するのです。


僧帽弁に付着する疣腫(ゆうしゅ)の心エコー図写真
僧帽弁に付着する疣腫の切除標本写真
 
症状は
発熱筋肉痛
関節痛など
治りにくい風邪に類似
このように感染性心内膜炎は、心臓病を持っている人に起こりやすい病気です。主な症状は発熱で、長く続くのが特徴です。ほかに関節痛や筋肉痛、末梢血管がつまることから指先などに痛みをともなう赤い斑点がみられることもあります。この疾患には特別な自覚症状がないため、風邪や膠原病との鑑別が重要です。
 診断には、聴診や心エコー検査、血液培養による細菌の有無と種類を特定する検査が行われます。
 治療は、特定された病原菌に効果のある抗生物質を長期間投与しますが、心不全など重篤な合併症がある場合は緊急手術も行われます。


心疾患のある人は歯科治療に十分注意 感染性心内膜炎の予防−一覧図
 心臓病のある人や心臓の手術をした人は、発熱が続いたら感染性心内膜炎を疑い、専門医を受診しましょう。とくに虫歯などの治療をした後は注意が必要です。心内膜炎を放置していると、弁膜症や心不全、脳卒中など重篤な疾患の原因になりますので、早期発見、早期治療が大切です。
 また、僧帽弁膜症のひとつである逸脱症も重要です。無症状のため僧帽弁逸脱症に気づかず、抜歯後に感染性心内膜炎を起こした例もあります。長期間持続する不明熱(原因不明)では、この疾患を疑っておく必要があります。

日本心臓財団より

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