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大動脈弁狭窄症と閉鎖不全症

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大動脈弁狭窄症と閉鎖不全症 Vol.45(2003年-No.5)

企画:日本循環器学会/教育研修委員会
監修:川副 浩平(岩手医科大学外科教授・附属病院長)
発行:日本心臓財団/後援:日本医師会/協賛:第一製薬

血液の逆流を防ぐ心臓弁

 心臓には、四つの部屋があります。全身から戻ってきた血液を肺に送る右心房と右心室、肺で酸素を取り込んだ新鮮な血液をまた全身へと送り出す左心房と左心室です。左右の心室の入口と出口には心臓弁があり、閉じたり開いたりして血流の逆流を防いでいます。四つの心臓弁のうち疾患が起こりやすいのは、左心房と左心室の間にある僧帽弁と、左心室と大動脈の間にある大動脈弁です。これらの弁は、全身に送り出される血液を通すため、いつも大きな負荷がかかっているからです。今回は大動脈弁に起こる疾患をとりあげます。

大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症図解イラスト  

大動脈弁狭窄症、
閉鎖不全症とは

 大動脈弁狭窄症とは、大動脈弁が狭くなるために起こる疾患です。弁口が大きく開かないため、左心室から大動脈(全身)に十分な血液を送り込むことができません。そのため左心室の中の圧力が高い状態が続き、左心室の壁(心筋)に無理な力が加わって厚くなっていきます。血管には十分な血液が流れ込まないため、血圧は低下します。このような状態が続くと、やがてめまいや失神、息切れ、胸痛などの症状が出てきます。
 大動脈弁閉鎖不全症は、大動脈弁が完全に閉まらないために起こる疾患です。弁口が完全に閉じないと、大動脈から左心室に血液が逆流し、やはり全身に血液を十分に送り込むことができません。無理して血液を送り出すため左心室に負担がかかり、やがて左心室が大きくなり、壁(心筋)ものびてしまいます。このような状態が続くと、動悸、息切れ、呼吸困難といった心不全症状が現れます。

 大動脈弁狭窄症の多くは、大動脈弁とその周囲が加齢による変性(石灰化、動脈硬化)で狭くなるもので、動脈硬化性(老人性)大動脈弁狭窄症といいます。大動脈弁閉鎖不全症では、動脈硬化が原因であるもののほか、大動脈弁に近い大動脈に瘤ができて、それに弁がひっぱられて閉鎖不全を起こすことがあります。
 また、狭窄症、閉鎖不全症の原因のひとつに先天性の大動脈二尖弁があります。通常は三枚ある弁が生まれつき二枚しかないもので、一〇〇人に一人の割合であるといわれています。弁としての機能には異常はなく、ほとんどの人が一生気づかないままですが、一部の人で中高年になった頃に加齢による弁の石灰化(狭窄)あるいは周囲がゆるんで(閉鎖不全)発症することがあります。
 
増えている

動脈硬化性の

狭窄症

症状が現れたら外科的治療必要
 大動脈弁狭窄症、閉鎖不全症とも、初期には自覚症状がありません。症状が現れたときには病状がかなり進行しているため、すぐに治療が必要です。治療は人工的につくった弁を手術で取りつける人工弁置換術が主に行われます。動脈硬化性狭窄症では、冠動脈にも狭窄がある可能性が高いため、心臓カテーテル検査を行い、冠動脈狭窄の治療も同時に行います。
 二尖弁や動脈瘤が原因の閉鎖不全では、弁を温存する手術が行われることもあります。
 診断は聴診器による心雑音の聴取と超音波検査です。年一回はかならず定期健診をうけて、心雑音があったら専門医を受診するようにしましょう。

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