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心房細動とは(2003年発行)

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心房細動と脳塞栓 Vol.42(2003年-No.2)

企画:日本循環器学会/教育研修委員会
監修:外山 淳治(愛知県立尾張病院院長)
発行:日本心臓財団/後援:日本医師会/協賛:第一製薬
 
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心房細動とは
 心房は数億の筋肉細胞からなる「袋」からできていて、この袋が同時に縮む(収縮)ことにより、静脈から戻ってきた血液を効率よく心室へ送り込むポンプ機能を果たしています。心房筋には電気信号の発生とそれを伝える仕組みがあり、それにより心房が収縮・弛緩します。心房細動は、その電気信号が究極に乱れた状態で、心房壁が細かく震えた状態(細動)になり、心房のポンプとしての働きは完全に失われます。
 しかし、心房の血液を受け取る心室は正常に機能しているので、健常者では生命にかかわることはほとんどありません。ところが、高齢者や心不全の患者さんでは、心房細動の発生により心臓ポンプ機能が著しく低下する危険があります。

心房細動が原因で起こる脳塞栓

心房細動が危険といわれるもう一つの理由に、脳卒中を起こしやすくなることがあげられます。心房細動になると心房壁が不規則に震えて血液の流れが悪くなっているため、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。心房内でできた血栓が動脈を通って脳に行くと、脳血管を血栓が塞いでしまい、脳卒中の一つである脳塞栓症を起こすのです。
 心房細動は年齢が増すとともに増える傾向があります。心臓の筋肉の疲労も原因といえるでしょう。24時間の心電図を記録するホルター心電図で調べた、健康な人の心房細動の検出率は、60歳未満で0.5%ですが、60〜70歳代では10倍の5%に増加し、80歳以上では10%にもなりました。
 心房細動に合併する脳塞栓症も加齢とともに著しく増えることがわかっています。わが国のデータでも、65歳以上の心臓病のない人が心房細動を起こした場合、1年間に脳塞栓症を起こす割合は4〜7%、特に75歳以上の女性では7.5%と高率です。

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心房細動の治療
脳塞栓の予防
 突然起こる発作性心房細動は、動悸が激しくなったり、胸が苦しいといった自覚症状が現れますが、高齢者では自覚症状のない場合もあります。心房細動が慢性化して起こるようになると治療が難しくなります。自覚症状があれば、専門医を受診してください。
 心房細動の治療には、薬物治療、カテーテルアブレーション治療、手術などがあります。発作性心房細動の初期ではカテーテルアブレーション治療も効果的です。最近の知見では、心房細動を起こす電気的な異常の発生源が肺静脈開口部にある場合が多いことがわかってきました。
 そこで、血管内にカテーテルという細い管を通して心臓部まで入れ、その発生部位を電気的に焼くことで七割の患者さんが治るといわれています。
 脳塞栓を起こす危険の高い人には、血液の凝固する能力を抑えて血栓をつくらないようにする抗凝血療法が行われています。抗凝血薬にはワルファリンやアスピリンなどがあります。ワルファリンには脳塞栓予防効果があることが、いろいろな臨床試験で証明されていますが、用量、食べ物や他の薬との飲み合わせなど注意が必要ですので、医師や薬剤師とよく相談して服用することが大切です。

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