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不整脈のアブレーション(2003年発行)

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不整脈のアブレーション治療 Vol.41(2003年-No.1)

企画:日本循環器学会/教育研修委員会
監修:井上 博(富山医科薬科大学医学部 第2内科学教授
発行:日本心臓財団/後援:日本医師会/協賛:トーアエイヨー

アブレーション
治療
とは

 心臓は規則的な収縮と弛緩を繰り返すことにより、全身に血液を送り出しています。この規則的な拍動は電気的な刺激によって起こります。この電気を発生させる場所(洞結節)や電気的興奮が伝わる伝導路などに異常があると、心臓の拍動リズムが不規則になり、これを不整脈といいます。不整脈には脈が異常に速くなる頻脈、遅くなる徐脈、脈がとぶ期外収縮などがあります。不整脈の種類によっては、治療が必要です。
 不整脈の治療には薬物療法と非薬物療法(手術など)がありますが、近年、頻脈に対する非薬物療法として広く行われるようになったのが、カテーテル(細い管)を用いたアブレーション治療です。アブレーションとは「除去する」といった意味の言葉です。
 アブレーション治療は、カテーテルを足の付け根の血管から挿入し、その先端を血管内を通して心臓まで送り込み、心筋の異常な部位のみを高周波電流で50〜60度に熱することにより不整脈が発生しなくなるようにします。手術に比べ、患者さんの身体に対する負担が少なく、不整脈を根治できることが特徴です。
イラスト
心臓内の
カテーテルアブレーション

アブレーション治療が効果的な頻脈性不整脈の一つにウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群(WPW症候群)があります。電気的な興奮を伝える伝導路以外に、先天的にもう一つ副伝導路を持っている人がいます。普段は支障ないのですが、何かのきっかけで電気的興奮が正常な伝導路と副伝導路の間をグルグルと旋回してしまい、突然激しい動悸に襲われます。アブレーション治療により余分な興奮を伝える副伝導路を絶つことで治癒可能です。アブレーション治療はそのほか、房室結節リエントリー頻拍や心房粗動といわれる上室性不整脈、また他に心疾患がない場合の心室頻拍などに効果があります。これらの不整脈治療では90%以上の成功率をあげています。
 不整脈の発作は起こる頻度や持続時間、重症度もさまざまなので、患者さんの症状や生活に対する影響を考慮して、適切な治療が選択されています。
アブレーションと
 抗不整脈薬の
  医療費の比較
イラスト
WPW症候群の頻拍発作の治療費は、抗不整脈薬とアブレーションのどちらが高いでしょうか? 短期的にはアブレーションのほうが治療費が高くなりますが、抗不整脈薬を4〜5年以上服用すると、こちらのほうが累積治療費は高くなってしまいます。
心房細動などにも
適応が広がる

最近は、心房が不規則に非常に細かく興奮する心房細動にもアブレーション治療が行われるようになりました。心房細動を起こす原因の一つが肺静脈にあることがわかり、その部分をアブレーション治療するのです。また、心疾患がすでにある心室頻拍にもアブレーション治療が行われるようになりましたが、これらは再発するケースもあり、治療成功率は現在50%といわれています。


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