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心不全の予後

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心不全の予後とは
NYHA(New York Heart Association)の心不全重症度分類
 心不全とは、あらゆる心臓の病気が最終的に行き着く病態、症候群のことをさします。予後とは、病気のたどる経過の中でどれだけ長く生きられるか、といった意味です。
 心不全の予後は一般的にはよくありません。予後はその原因となる心臓病の種類、症状の重症度によって異なってきます。心不全の重症度分類はニューヨーク心臓病協会(NYHA)のものがよく使われています。重症度のIV度になった心不全患者は二年以内に五〇%が亡くなるといわれています。また、III度でも一度IV度を経験している患者の五年生存率は約五〇%といわれています。ですから、できるだけ軽症I、II度の段階にとどめて、重症化しないように早期から治療する必要があります。
心不全患者は増えている
 心不全の原因疾患には心筋梗塞、特発性拡張型心筋症、弁膜疾患、高血圧性心臓病、心筋炎などがあります。米国では一年間に五〇万人が新たに心不全になるといわれています。その原因疾患は心筋梗塞が六〜七割を占めています。日本の場合、明確なデータはありませんが、人口対一〇万人あたりの心筋梗塞患者数は米国の四分の一から五分の一です。しかし高齢化社会になるにつれて確実に心筋梗塞患者数は増加しており、その対策が重要になってきています。
 日本人の心不全患者には特発性拡張型心筋症が多くみられます。また、中等度の心不全患者を対象とした大規模試験の結果では、同程度の重症度でも米国での一年間の死亡率が約一〇%であるのに対し、日本では一〜二%と、きわめて低い結果が出ています。これは心不全の原因疾患の違いと、 二〜四週ごとに診療する日本に比べ、米国は三〜四ヵ月ごとという日米の診療状況の差なども反映している可能性もあります。
心不全患者は増えている-イラスト
心不全でも長生きを
心不全の予後を決める因子はいろいろありますが、なかでも以下の三つの因子が重要です。一つは過剰に亢進した神経体液性因子(レニン―アンジオテンシン系や交感神経系など)です。二つめは心肥大、心拡大です。心肥大が進むと重症度が進みます。三つめは不整脈(脈の乱れ)です。これら三つを治療目標にして、コントロールすることが、予後の改善につながります。
 心不全の治療薬には、ジギタリス(強心薬)、利尿薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬などがあります。この中で、日本で保険適用されていないのがARBとβ遮断薬です。β遮断薬はまもなく適用になる予定です。医師は症状に合わせ、これらの薬を使い分けて、症状の進行をくい止め、心不全患者が長生きできるように努めています。また、不整脈については薬物療法のほか、植え込み型除細動器(ICD)を装着してコントロールする方法もあります。
   
いま注目されているβ遮断薬-イラスト いま注目されているβ遮断薬
 β遮断薬は、以前は心不全に禁忌とされた薬です。その後いくつもの大規模臨床試験が行われ、慢性心不全の予後を改善することがわかりました。最近の研究では、β遮断薬は心筋細胞内のカルシウム代謝を改善して、病んだ心筋細胞をよみがえらせる作用があるといわれています。
 
日本心臓財団より

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