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慢性心不全治療の目標は?

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慢性心不全治療の目標は?
予後の改善



QOLの改善
 心不全とは、心臓の機能障害によって全身の臓器に必要な血液量が送れなくなった状態をいいます。この状態が慢性化したものが慢性心不全です。慢性心不全の治療目標は二つあります。
 一つは予後の改善です。予後とは、病気のたどる経過の中でどれだけ長く生きられるかということで、治療することにより病気の進行が止まり、あるいは改善して長生きできるようになる場合を、治療による予後の改善効果といいます。
 もう一つは「生活の質(Quality of Life:QOL)」の改善です。一例を挙げると、家の中で生活するのがやっとだった人が少し外に出て散歩できるようになる、そういった変化をQOLの改善といいます。
 近年、慢性心不全の治療には目覚ましい進歩がみられます。その現況について、薬物療法を中心に紹介します。
薬物治療の基本的な考え方
 交感神経系や血液中に分泌される生理活性物質 (レニン―アンジオテンシン系、エンドセリン系などの神経体液性因子)はもともと循環のバランスを維持するシステムですが、心不全になると血中や心臓の組織で過剰な働きをするようになります。 
その結果、全身に水分が貯まったり、血管を過度に収縮させたりして、さらに心不全を悪化させることがわかってきました。こうした過剰な活性化を薬で抑えることで、心不全の症状の軽減、予後の改善をめざすのが薬物治療の中心になっています。
抑制のイメージイラスト

治療薬の特徴
イラストイメージ
利尿薬
 身体に貯まった水を尿として体外に出す利尿薬は症状の改善に有効です。一部の利尿薬には予後の改善効果も期待できます。数種の利尿薬がありますが、ループ利尿薬とカリウム保持性の利尿薬の併用が推奨されています。 重症慢性心不全患者に対するACE阻害薬の予後改善効果とβ遮断薬の予後改善効果
ACE
(アンジオテンシン変換酵素)
阻害薬
 血管拡張作用があり、予後の改善効果が期待できます。ACE阻害薬はこれまでの大規模臨床試験の結果から軽症、重症を問わず予後の改善効果が認められています。利尿薬とACE阻害薬の二つが慢性心不全治療の基本的な治療薬になっています。
ジギタリス
(強心薬)
 古くからある薬で心臓の収縮性を高めるために使われる薬です。脈拍を遅くさせる作用もありますので、頻脈などのみられる慢性心不全患者ではきわめて有効です。ジギタリスにより心不全の悪化が抑えられ、QOLの改善がみられます。
β
(ベータ)
遮断薬
 交感神経系を抑制する薬です。心機能を抑制するため以前は心不全には禁忌とされていました。しかし徐々に増量していくことで慢性心不全の予後の改善に有効であることがわかりました。
 β遮断薬には心機能の改善、突然死の予防効果などが認められていますので、ACE阻害薬と併用して用いることが奨められています。日本においても近々、慢性心不全治療薬として承認される予定です。
アンジオテンシンII受容体拮抗薬
 ACE阻害薬と同等の薬効が認められていますが、まだ心不全の治療薬としての承認がとれていません。
以上の薬物治療に限界のある重症心不全に対しては、心臓移植も行われています。また植え込み型人工心臓、遺伝子治療、再生医学などの研究も進んでおり、将来が期待されています。
 
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