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かぜ様症状で発症する急性心筋炎、心膜炎(2002年発行)

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急性心筋炎をご存じですか

監修:和泉 徹(北里大学医学部内科学教授)
心臓断面図
  元気な人が最初はかぜのような症状で数日経過し、突然、心不全症状を呈して、最悪のケースは死亡するといったことがまれにあります。そうした突然死の原因の一つに急性心筋炎があります。
 急性心筋炎は、心臓を動かしている筋肉(心筋)にウイルスが感染して炎症を起こす病気です。代表的な病像は、かぜ様症状、心不全、不整脈、ショック症状ですが、かぜ症状から進展するものは発見しづらく対処が遅れることもあります。心筋炎の中には死に至るほど急激な病状変化を示すものがあり、「劇症型心筋炎」と呼ばれています。
心筋炎の発症頻度は定かでありませんが、人口十万人に対して百十五人という研究データがあります。そのうちのどれくらいが劇症型心筋炎へ移行するかは今のところわかっていません。
 もう一つの病気として急性心膜炎があります。心膜炎は、心臓を包んでいる心膜に炎症が起こる病気です。心膜は二枚あり、その間に少量の心膜液があり、心臓の機械的な動きを助けたり、炎症を防ぐなどの機能をもっています。心膜炎になると、胸痛が起こるとともに心膜液が増加して心臓の動きに障害を与えます。急性心膜炎と心筋炎が合併することもあります。
 
病因ウイルスかぜウイルスと同じ

 急性心筋炎、心膜炎の原因となるウイルスはかぜなどの病因ウイルスと同じことが多く、最初は喉の痛み、咳、発熱、筋肉痛、全身倦怠感、胃のむかつきなど消化器症状がみられます。急性心筋炎の症状は無症状のものから炎症症状、心不全症状を伴うものまでさまざまです。劇症型心筋炎の場合は、かぜ症状から一転して手足が冷たくなるとか、言いようのない体のだるさに襲われるとか、不整脈が現れ、極端な例では失神するとか、呼吸困難に陥るといった急性心不全病状へと変化します。
 心筋細胞は他の臓器と違って再生しない細胞です。炎症によって壊される範囲が広がると心臓のダメージが急速に拡大されます。心筋炎による臨床症状の経過は、心筋が壊れるといった器質的障害と炎症による心収縮力低下という機能的障害が重なって起こり、突然死といった急激な病状変化となって現れることがあります。また急性心筋炎が治癒した後にも心筋のダメージが残って、慢性の心不全に至る場合もあります。
 心膜炎の症状は発熱、全身倦怠感といった全身症状のほかに、持続的な鈍痛を胸部に感じます。
急性心筋炎の原因は風邪ウイルスと同じ
かぜでも胸に異常を感じたら早期に受診
風邪は万病のもと 「かぜは万病のもと」とはよく言ったものです。かぜ症状を軽く考えてはいけません。頭の片隅にまれであっても急性心筋炎、心膜炎といった病気があることを記憶しておいてください。この病気は子どもから高齢者まで、誰でも罹る可能性があります。かぜ症状から胸の異常を感じたら早期に医療機関に受診することを勧めます。
 急性心筋炎の検査は、まず血液中の心筋トロポニンTを測定します。心筋トロポニンTは心筋組織が壊れると血液中に出てくるものです。確定診断には心臓カテーテルで心筋細胞を少量採取して病理学的検査をする必要があります。
 PCPSによる救命率
劇症型心筋炎は以前は治療法がなく、亡くなるケースが多い疾患でした。最近は心臓の働きを体外で機械により補助する心肺補助循環装置(PCPS)が使われるようになり、専門病院では半数以上の患者さんが救命されるようになりました。
 
日本心臓財団より

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