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狭心症:治療のための基礎知識

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狭心症:治療のための基礎知識
監修:木之下正彦(滋賀医科大学第1内科教授) 
狭心症とは、心臓の酸欠状態のこと
   狭心症という病名は、胸が狭められる、締めつけられるといった症状からつけられました。その原因の多くは、心臓の筋肉(心筋)に酸素と栄養を送っている冠動脈の動脈硬化です。狭心症は大きく三種類に分かれます。一つは労作性狭心症と呼ばれるもので、冠動脈の動脈硬化により血管内腔が狭くなっているため、労作(運動)時に心臓の仕事量が増えると、それに見合う酸素量が心筋に運ばれず、虚血が起こり胸痛に襲われるというものです。発作の起きる労作の強さが一定で安定している場合、安定狭心症といわれます。
 次に、血管内腔の動脈硬化を起こしている場所(粥腫)が破れて血栓をつくる状態になると、安静にしていても頻繁に発作を起こすようになります。この状態を不安定狭心症といい、同じ機序で生ずる心筋梗塞、突然死と合わせて最近では急性冠症候群と呼ばれています。
 もう一つは、動脈硬化は軽度ですが、冠動脈のけいれん(スパズム)が起こることで虚血を起こすケースです。夜間、早朝あるいは午前中に発作を起こすのが特徴で、冠れん縮性狭心症と呼ばれています。狭心症の胸痛はいずれも長くて十五分程度で消失します。
知っておきたい 重症度の目やす
狭心症の重症度分類(カナダ心臓血管協会)
 日常身体活動では狭心症が起こらないもの。たとえば歩行、階段を昇るなど。しかし、激しい急激な長時間にわたる仕事やレクリエーションでは狭心症が起こる。
 日常生活にわずかな制限のあるもの。早足歩行や急いで階段を昇る、坂道を登る、食後や寒冷時、風が吹いているとき、感情的にストレスを受けたとき、または起床後数時間以内に歩いたり階段を昇ったときに狭心症が起こるもの。
 狭心症を経験したことがない人も、すでに経験した人も、狭心症の自覚症状とその重症度を知っておくと、今後の健康管理に役立つと思います。カナダ心臓血管協会(CCS)が作成した「狭心症の重症度分類」を参考に紹介しておきます。
 すでに狭心症のある人は、?度の状態にすることが治療の目標です。
 日常生活に明らかに制限のあるもの。1〜2ブロック(50〜100m)の平地歩行や自分のペースで階段を昇っても狭心症が起こるもの。
 不快感なしに日常生活ができず、安静時にも狭心症状があると思われるもの。

狭心症治療の考え方
 1999年に米国心臓学会議(ACC)、米国心臓協会(AHA)など関連学会が共同で作成した安定狭心症ガイドラインが発表されました。そのなかでは、「安定狭心症治療のA to E」として、治療に必要な薬と日常生活の注意がアルファベット五文字で紹介されています。
 狭心症の治療に使われる薬物には、発作時に使用するニトログリセリンや、発作を予防する硝酸薬、β遮断薬、Ca拮抗薬、抗血小板薬などがあり、狭心症の種類や症状により使い分けられています。
 狭心症は動脈硬化性疾患であり、高脂血症、高血圧、糖尿病、肥満、喫煙といった危険因子が二つ三つと重なると発症の危険が高まります。また、すでに狭心症を起こした人は、こうした危険因子を抑えることで病気の進展を抑えることができます。
安定狭心症治療のAtoE
(Circulation 1999; 99: 2829)
A
Aspirin(アスピリン)
Antianginal therapy(抗狭心症薬)
B
Beta blocker(β遮断薬)
Blood pressure(血圧)
C
Cigarette(タバコ)
Cholesterol(コレステロール)
D
Diet(食事療法)
Diabetes(糖尿病)
E
Education(患者教育)
Exercise(運動)

高脂血症治療薬の再発予防効果
 冠動脈疾患の治療には、薬物療法のほか、外科療法や風船(バルーン)で血管内腔を拡げる療法などがあります。

1999年の米国の医学雑誌に、バルーン療法と高脂血症治療薬で冠動脈疾患の再発率を比較した論文が掲載されました。

高脂血症治療薬のほうが再発をより抑えたという結果でした。

薬物治療の再発抑制効果が確かめられた一例です。

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