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急性心筋梗塞治療の最前線

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急性心筋梗塞治療の最前線
監修:山口 徹(東邦大学医学部附属大橋病院第3内科教授) 
治療のゴールデンタイムは6時間
壊死部分図解  急性心筋梗塞は、心臓に栄養と酸素を補給している冠動脈が急に詰まり、血流がその先に流れないことから、心臓の一部の筋肉が死んでしまう(壊死)病気で、急死することもあります。症状としては30分以上続く胸痛です。同じ胸痛でも狭心症の場合は5〜15分くらいで、胸痛の持続時間が急性心筋梗塞の重要な目安になります。
 心臓の筋肉には再生能力がないため、急性心筋梗塞の第一の治療は、詰まった冠動脈を再び開通させて(再灌流療法)壊死を最小限にとどめることにあります。再開通は早ければ早いほどよく、急性心筋梗塞の治療のゴールデンタイム(心臓のダメージを少なくすることができる時間)は、六時間といわれています。それを過ぎても十二時間以内であれば、再開通することで効果があります。
 WHOの調査では、急性心筋梗塞による死亡例は80%が24時間以内で、その3分の2は病院到着前です。ちなみに専門施設のある病院到着後の死亡率は5〜10%です。
 急性心筋梗塞の疑いがあるときは、一刻も早く医療機関に受診する必要があるので、緊急の場合は救急車を呼びましょう。
最新の治療法 血栓溶解薬+風船療法+ステント
最新の治療法図解  治療法には、詰まった血栓を血栓溶解薬(tPAなど)で溶かす方法と、血管内に細い管(カテーテル)を入れて、詰まった部位を風船(バルーン)でふくらませる「風船療法」(PTCAなどと呼ばれています)があります。
 血栓溶解薬の静脈注射による再開通率は50〜70%程度ですが、再閉塞しやすいことが知られています。この治療法は簡便ですが、出血性疾患、たとえば胃潰瘍などがあると、止血していた血栓まで溶かすため、使用には十分配慮する必要があります。風船療法の再開通成功率は約95%と高いのですが、心臓カテーテル室を持った施設でなければ行うことができません。
 次に今行われている最新の治療法を紹介しましょう。
 急性心筋梗塞で循環器専門医のいる病院に搬送されてきた患者さんは、到着すると直ちに血栓溶解薬を静脈注射して、心臓カテーテル室に送られ、溶けているかどうかを確認するため血管造影を行います。閉塞部位がみつかると、そこを風船療法で再開通した後、その部位にステントというステンレススチールの金網の筒のような補強具を留置します。風船療法だけでは再狭窄することが多いため、今日広く行われるようになった方法です。ステントは風船療法の際、60〜70%で使用されています。さらに、再閉塞を防ぐために抗血小板薬を約一カ月服用します。こうした治療が行われるようになって、再狭窄率は低下し、治療成績は向上しています。
治療後の心臓イラスト

再狭窄予防研究の最前線
ステントイメージ  ステントを使用しても、なお20〜30%の再狭窄があるといわれています。そこで研究の最前線では、さまざまな試みが行われています。ステントに薬剤を付着させたり、血管内から放射線を照射して再狭窄を防ぐ研究、また、ステントを生体に吸収される物質でつくり、体内にステントを残さない研究も行われています。

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