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症状のない虚血性心疾患は少なくない

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症状のない虚血性心疾患は少なくない
監修: 三浦 傳(秋田大学医学部第2内科教授)
○ご存じですか、症状のない狭心症?
 狭心症や心筋梗塞は、心臓の筋肉(心筋)に栄養と酸素を送る冠動脈が動脈硬化などで狭くなる、あるいは完全に詰まることにより心筋に虚血を引き起こす疾患です。狭心症の症状には胸痛のほか下顎や左腕の痛み、喉が詰まるなど、さまざまなものがあり、痛みは5分以内に消失するのが特徴です。また心筋梗塞の場合は、胸痛が30分以上続き、生命に関わる場合もあります。
 しかし、症状のない心筋虚血(無症候性心筋虚血)もあるということが、最近わかってきました。それは、24時間継続的に測定できる心電図(ホルター心電図)や冠動脈造影法などの検査法の進歩により、症状がなくても病状が進行している場合があることが明らかになったのです。
 


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○無症候性心筋虚血の3つのタイプ
心筋シンチグラフィ ○無症候性心筋虚血の3つのタイプ

無症候性心筋虚血には3つのタイプがあります。
 1)狭心症、心筋梗塞と今までに診断されたことのない人、自分では健康と思っている人の中にみられる無症状の心筋虚血
 2)心筋梗塞発症後に現れる胸痛を伴わない心筋虚血
 3)明らかに狭心症があり、同時に併存する症状のない心筋虚血
 2)3)の場合は、明らかな虚血性心疾患が認められているため、無症候性心筋虚血は比較的見つかりやすいわけですが、1)のタイプは早期発見が困難です。
 こうした無症候性心筋虚血を発見する方法としては、ホルター心電図や運動しながら測る心電図(負荷心電図)、さらに心電図で変化が現れない場合もあることから、疑わしいときは負荷心エコー(超音波検査)、負荷心筋シンチグラム(放射性同位元素を用いて心筋虚血部位を描出する方法)などの検査法があります。

 

 


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○自称“健康人”にも2〜3%の頻度
 無症候性心筋虚血の頻度については詳細な調査はなかなか困難ですが、狭心症の自覚症状がなく健康と思われている日本人の中にも2〜3%にみられると考えられています。すでに狭心症がある場合は、心筋梗塞に移行しやすい不安定狭心症だと50〜80%、安定狭心症でも20〜40%の頻度で一過性の無症状の心筋虚血が起こっているといわれます。
 とくに糖尿病がある人は動脈硬化が進行しやすく、合併症の1つに神経障害もあることから痛みを感じにくくなります。無症候性心筋虚血の頻度も、糖尿病があると3〜4倍と高くなります。また若い人に比べ高齢者に無症状のケースが多くなることも明らかになっています。
 

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○無症状だからこそ定期検診が必要
年に一回は健康診断を・イラスト虚血性心疾患と心因性突然死図解  心臓性突然死は一見健康そうにみえた人を襲う恐ろしい病気ですが、その背景の一部に無症候性心筋虚血があることは明らかです。心臓性突然死は急性心筋梗塞、不安定性狭心症など急性の虚血性心疾患が原因と考えられてきましたが、新たに無症候性心筋虚血も加えて考える必要があります。
 無症候性心筋虚血を発見するためには、男性では40歳を過ぎて、生活習慣病の危険因子(高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満など)が2つ以上あれば、専門病院で心血管病の検査を受けましょう。女性の場合は50歳を過ぎて、同様の危険因子が2つ以上あれば検査が必要です。
 こうした危険因子がなくても心臓病の早期発見のために、40歳を過ぎたら年1回、定期的な検診を受けることをおすすめします。

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