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循環器疾患のリハビリテーション

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循環器疾患のリハビリテーション
監修上嶋 健治 岩手医科大学附属循環器 医療センター循環器科助教授
早期社会復帰をめざす
心臓リハビリテーション
急性期慢性期リハビリテーション・イラスト
 「心臓病には安静が第一、運動は危険」という考えが、ひと昔前までは常識でした。しかし現在では、「心臓病には運動療法が欠かせない」ものとなっています。
 心臓リハビリテーションは、心筋梗塞発症後の患者さんを対象に、早期社会復帰の実現をめざして始まりました。現在では狭心症や心臓手術後の患者さんにも行われています。
心臓リハビリテーションには、急性心筋梗塞発症後、入院中に行われる「急性期リハビリテーション」と、退院後に行われる「慢性期リハビリテーション」があります。急性期リハビリテーションは、ベッド上で座位になるところから始めて五百メートルの歩行まで、運動プログラムに沿って心機能の回復訓練をします。それ以後および退院後の慢性期リハビリテーションは、日常生活の中に歩行などの有酸素運動を取り入れて、回復した機能を維持し、心筋梗塞症の再発を予防します。

 


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健康な人も適度な運動を
 心臓病を持っていなくても、中高年になると、心臓病の危険因子である肥満、高血圧、高脂血症、喫煙習慣などを持つ人が多くなります。日常生活に運動を取り入れることは、心筋梗塞の発症予防(一次予防)のためにも大切です。
 運動には有酸素運動と無酸素運動がありますが、慢性期の心臓リハビリテーションで行うような、楽な呼吸を継続できる運動を有酸素運動といいます。運動の強度が増すと、呼吸で取り入れる酸素ではエネルギーが足りなくなり、酸素の不足した状態でエネルギーをつくるために筋肉から乳酸などの疲労物質が血液中に出てきます。心臓を守るための運動としては、このような酸素不足状態に変わる前の、息切れしない程度が適切とされています(この運動強度を嫌気性代謝閾値:ATといいます)。
 ATの目安は、1分間の脈拍数が「165から年齢を引いた数」になる程度とされています。中高年であれば脈拍数100〜110/分程度の運動でよいでしょう。有酸素運動には、歩行、ジョギング、水泳、サイクリングなどがあります。1回30分〜60分程度で週3回くらい行いましょう。心臓疾患や他の疾患がある人は、医師から適切な運動処方を受けることが必要です。


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二つの柱は運動療法と患者教育
患者教育と運動療法・イラスト
 心臓リハビリテーションには二つの柱があります。一つは運動療法、もう一つは患者教育やカウンセリングによる生活指導です。この二つが両輪の輪となって心筋梗塞の再発を防ぎ、質の高い日常生活をおくることができるようになります。
 心臓リハビリテーションにより運動耐容能が改善し、たとえば階段を一階昇るごとに息切れして休んでいたのが、3階まで続けて昇ることができるようになります。これは、運動により心機能の予備能力が増加し、少ない血流でも骨格筋が必要な酸素を取り込めるようになったり、少ない心拍出量(1回の心臓収縮で体に送り出す血液量)でも血管が拡張して体中に血液が巡るようになったり、交感神経が抑制され、副交感神経が活性化して脈拍をゆっくりさせたりするからです。さらに運動能力が向上することは、患者さんの自信にもなり、精神的な安定をもたらします。
 また、患者指導により食生活の改善や禁煙を実行することで、心筋梗塞症の再発を予防し、死亡率が低下します。

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心不全治療にも運動療法
心不全の患者さんにも運動療法が有効・イラスト  最近では、安静が治療原則になっていた心不全の患者さんにも運動療法が有効といわれています。海外ではすでに治療ガイドラインで適度な運動が推奨されており、日本でも慢性心不全患者さんを対象とした運動療法の研究が始まっています。
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