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循環器疾患と救急医療

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循環器疾患と救急医療
企画 日本循環器学会 教育研修委員会
監修 上松瀬 勝男 日本大学医学部第二内科教授・駿河台日本大学病院病院長
発行 日本心臓財団
突然の胸痛に襲われたとき  十五分以上続いたら救急車を
突然の胸痛は?・イラスト 救急医療というと交通事故や災害、ケガなどを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、平成九年の救急車の出場件数をみると急病が五四・一%と高く、交通事故は一八・一%となっています。
 急病の中でも約四分の一を占めるのが循環器系疾患(脳疾患、心疾患)です。ここでは救命救急が必要な心臓疾患をとりあげます。
 救急医療が必要な心疾患には、胸痛症状がある狭心症と心筋梗塞、動悸が主症状の不整脈、呼吸困難がみられる心不全などがあります。その中で突然の激しい胸痛、胸を締めつけられるような苦しさに襲われるのが狭心症、心筋梗塞です。狭心症の場合は数分で痛みはおさまりますが、心筋梗塞の場合は胸痛がおさまらず持続するのが特徴です。激しい胸痛が十五分以上続くようであれば救急車を呼ぶようにしてください。
不整脈の中にも致死的な不整脈があります。危険な不整脈のある患者さんは、症状によりペースメーカーや植え込み型除細動器を装着して、致死的な不整脈の発生をさけるようにしています。
心不全は心疾患 (虚血性心疾患、心筋症、弁膜症など) により心機能が低下して、呼吸困難や浮腫などを起こすものです。急性心不全を起こすと救命救急処置が必要となります。

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心筋梗塞治療は発症から六時間以内
心筋梗塞は時間が勝負・イラスト 心筋梗塞の場合、発症後の時間の経過とともに心臓に不可逆性の大きなダメージを与えます。ですから、できるだけ早く治療することが大切です。六時間までがゴールデンタイムです。
 心筋梗塞は、心臓に酸素と栄養を送っている冠動脈の内腔が動脈硬化の進行によって狭くなり、さらに狭くなった部分に血栓が詰まって血流が途絶え、その先の心筋が壊死してしまう病気です。
 心筋梗塞の治療は再灌流療法といって、詰まっている血管を通す治療が行われます。それには薬剤を静脈に注射して詰まった血栓を溶かす方法や、PTCA(経皮的冠動脈再建術)といって血管に細い管を入れて、詰まった箇所を風船でふくらませて開く方法があります。どちらも心筋梗塞発症から早ければ早いほど治療後の回復が早いことがわかっています。

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プレホスピタルが救命救急のカギ  救急救命士制度の実施
救急救命士の制度により救われる命が増えている・グラフアメリカでは心筋梗塞患者が年間九〇万人といわれており、そのうち二二万五千人が亡くなっています。さらに、死亡した人たちの半分以上である十二万五千人が病院到着前に亡くなっています。
 日本では心筋梗塞患者の正確な数字ははっきりとつかめていませんが、アメリカと同様にかなりの方が病院到着前に亡くなっていると考えられます。
 救命率をあげるためには、病院に到着する以前(プレホスピタル)に応急処置がとられなければなりません。そこで登場したのが救急救命士です。
 平成四年より救急救命士の制度が実施され、医師の指示のもとに搬送中に応急処置を行える資格制度がつくられました。
 救急救命士は点滴に必要な静脈確保、心肺停止時に行う除細動、気道確保のためのラリンゲルマスクなど特定の医療行為が認められています。救急救命士の特定行為の実施状況をみると年々拡大しており、この制度により救われる命が増えていることがわかります。
現在、全国の救急隊に救急救命士が少なくとも一名配置できるように養成が行われています。
  心肺蘇生術の習得を
  応急手当の救命効果・図解
家族や職場などで突然、胸痛を訴えたり、倒れた人が出た場合は、直ぐに一一九番に電話して救急車を呼ぶことです。
 倒れて意識のない人の中に、心臓の鼓動もなく呼吸もしていない状態(心肺停止状態)の場合があります。心肺停止のまま放置した状態が三分以上続くと酸素不足のため脳に障害を受けて機能が回復できなくなってしまいます。現在、救急車が現場に到着する平均時間は六分六秒ですので、その前にそこにいる人が心肺蘇生術などの応急処置を行うことができると助かる可能性が高くなります。
 平成九年の応急手当の救命効果では、応急手当が行われていた傷病者のほうが、行われてない傷病者より一ヵ月生存者数の割合が二倍多くなっています。
心肺蘇生術などの応急手当は、消防庁が中心になって普及啓蒙活動を行っており、また運転免許取得時に習得しなければならないことになっています。機会を見つけて身につけるようにするとよいでしょう。

 

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