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健康な老いを考える(加齢と循環器病)(1999年発行)

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健康な老いを考える  (加齢と循環器病)
企画 日本循環器学会教育研修委員会    
監修 大内 尉義 (東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座教授)
循環器系の加齢変化
心臓・血管断面図  なじみのない言葉かもしれませんが、加齢変化とは、医学用語で時間の経過とともにからだに起こるすべての現象、すなわち形態的、生理的変化をいいます。加齢とはagingの訳で、一般的には歳をとるという意味です。ちなみに医学用語でいう老化とは、成熟期以降の加齢変化を指し、生体機能の低下と、ついには死に至る恒常性の崩壊過程をいいます。多くの場合、加齢は老化と同義に使われますが、老化という言葉のもつ負のイメージはなく、自然な老いといった語感があります。 
 
循環器系の加齢変化には次のようなものがあります。
 血管では動脈壁が厚くなり、弾性が失われ、硬くなってきます。これは血管壁の間質成分(骨組みをつくる線維組織など)が増えたり、動脈壁に石灰が沈着することにより起こります。このような変化は血管の全身的な変化で、コレステロールなどに起因する動脈硬化(部分的に血管壁を狭める粥状動脈硬化)とは異なります。
 心臓では、心筋細胞が減少し、間質の線維化が進み、運動負荷に応える余力が失われていきます。また大動脈弁や僧帽弁輪(弁の付着部位)の石灰化が起こってくるのも特徴です。心臓の収縮・弛緩を調節している刺激伝導系も衰えてきます。
 こうした循環器系の加齢変化は、血管では動脈瘤、動脈解離、心臓では心不全、弁膜症、刺激伝導系では不整脈などの疾患の要因となっていきます。

 

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予防は生活習慣の見直しから
生活習慣を見直そう・イラスト 健康な老いを迎えるためには、動脈硬化の防止は欠かせません。
 食事は過食、高脂肪食、塩分のとりすぎを避け、魚を積極的にとり、繊維やカルシウムを多く含んだ食品を食べるようにしましょう。とくに高齢者で注意しなければいけないのは、たんぱく質、カルシウム、
マグネシウム、水分などが不足しがちになることです。水分の不足は血液の粘稠度を高め、脳梗塞などの誘因となります。
 運動は、軽い運動を長期間続けることが大切です。一日二〇〜四〇分、週三回以上行うようにしましょう。七五歳以上の高齢者は、軽い散歩程度でよく、無理は禁物です。
 ストレスは急激な血圧上昇を招き、急性心筋梗塞や脳梗塞を起こすことがありますから、気分転換などでストレスを発散しましょう。
タバコは禁煙にかぎります。飲酒は適度なら健康によいでしょう。
生活習慣を見直し、コントロールすることで病気を防ぎ、Successful aging (健康に上手に歳をとる) をめざしてください。

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中高年に増える動脈硬化性疾患
動脈硬化の危険因子・イラスト 加齢変化による動脈硬化は生理的な老化がもたらすものですが、中高年になると増える粥状動脈硬化は病的な老化といってよいものです。通常私たちがよく使う動脈硬化とは粥状動脈硬化のことを指します。心筋梗塞、狭心症など虚血性心疾患、また脳梗塞などの原因となるものです。粥状動脈硬化と加齢の関係は、疾病の実態調査(疫学)では相関が認められていますが、その機序はまだ解明されていません。
 動脈硬化の危険因子には、加齢、男性、閉経(女性)といったコントロールできないものもありますが、高コレステロール、糖尿病あるいは糖尿病予備軍、高血圧、肥満、喫煙、高尿酸血症、ストレスなど、治療あるいはコントロール可能なものが多くあります。動脈硬化は危険因子が二つ三つと重なるほど進展が早まり、動脈硬化性疾患を発症しやすくなります。動脈硬化は長い時間かかってつくられてくるもので、若いときから動脈硬化にならない生活習慣(食事、運動)を身につけることが大切です。すでに危険因子となる疾病をもっている人はそれを治療することで動脈硬化性疾患の発症を抑えることができます。

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カルシウム移動説
 私たちのからだにあるカルシウムの九九%は骨にあります。残りの一%は血中に溶け込んでいます。最近、注目されている骨粗鬆症は、骨のカルシウムが減少して骨がもろくなる病気です。その減少したカルシウムはどこへ行くのでしょうか。骨のカルシウムは老化とともに動脈壁へと移動するというのがカルシウム移動説です。確かに高齢者の動脈壁には石灰の沈着がみられ、動脈硬化性疾患の原因になっています。骨を若々しく保つことは、血管の老化を防ぐうえでも重要なのです。

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日本心臓財団より


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