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喫煙と循環器病(禁煙のすすめ)

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喫煙と循環器病(禁煙のすすめ)
企画 日本循環器学会教育研修委員会     

監修 泰江 弘文 (熊本大学医学部循環器内科教授)

喫煙で体内に増えるフリーラジカル
 喫煙は肺がんの危険因子であることはよく知られています。同様に循環器病の危険因子であることも、ぜひ知っておいていただきたいことです。
 タバコの煙にはニコチン、CO(一酸化炭素)やタールなどが含まれています。ニコチンは交感神経系を刺激し、心拍数の増加や末梢血管の収縮、血圧上昇などを招きます。また中枢神経系に作用し、たばこ依存性をつくります。COは赤血球と結びつき、体内への酸素の取り込みを低下させます。またタールには発がん性物質が含まれています。
 そのほかに最近重要視されるようになったのが、喫煙によって体内に増えるフリーラジカルです。フリーラジカルは動脈硬化の促進など循環器病に大きくかかわっていることがわかってきました。
フリーラジカルとは
イラスト・フリーラジカル フリーラジカルとは不安定で反応性の高い原子や分子をいいますが、もっとも身近なものとしては活性酸素があげられます。私たちは酸素を取り込み、食物を体内で燃焼させエネルギーを得ています。使われた酸素は水に還元されますが、その際に少量の活性酸素が発生します。体内には活性酸素を抑えるSOD(抗酸化酵素)などがあり、増えないように調節しています。しかし、過剰に体内に活性酸素が発生すると動脈硬化などさまざまな病気の危険因子となります。
 放射線は体内にフリーラジカル(活性酸素)を発生させますが、喫煙習慣は絶えず放射線照射を受けているのと同じ状態をつくっているといってよいでしょう。
動脈硬を促進するフリーラジカル
血管断面図 動脈硬化は虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)の原因となるものです。喫煙により体内に増えたフリーラジカルはどのように動脈硬化を促進するか、簡単に説明しましょう。
 血液中に増えたフリーラジカルは血管の内壁にある内皮細胞を傷つけます。その傷口に血液中を流れているLDLコレステロールが入り込んできます。LDLはフリーラジカルによって酸化され、酸化LDLになります。すると白血球由来の細菌など異物を取り込んで排除するマクロファージという細胞が集まってきて、酸化LDLを異物として認識し、どんどんと取り込みはじめます。酸化LDLでふくれあがったマクロファージは泡沫細胞となり、厚いコレステロールの層をつくり、血管内腔を狭めていきます。これが動脈硬化のメカニズムです。
 もう一つ、血管内皮細胞でつくられるNO(一酸化窒素)にはフリーラジカルを抑える抗酸化作用、また血管を拡張する作用、血液を凝固しにくくする作用など血管機能を保全する働きがありますが、過剰なフリーラジカルにより血管内皮が障害を受けるとNOの働きが抑制されてしまうことも動脈硬化につながります。
 このほか喫煙は悪玉コレステロール(LDL)を増やし、善玉コレステロール(HDL)を減らすので、高血圧、心不全など循環器病全体に悪影響をもたらします。

 

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タバコと冠れん縮性狭心症
喫煙の男女別比率・イラスト 平成八年の保健福祉動向調査によると喫煙率は男性五五・一%、女性一三・三%となっています。
年代別では、男性は三○歳代が多く、女性は二○、三○歳代と若い女性に多いことが特徴です。日本は先進諸国の中では喫煙率、タバコの消費量の高いことで知られています。
日本人に多いといわれている冠動脈がけいれんして細くなって起こる狭心症(冠れん縮性狭心症)は、喫煙が大きな危険因子になっています。このことは喫煙率の高さに見合うものです。

 

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 禁煙のすすめ

 このように、循環器病にとって喫煙は大敵です。また、喫煙は自分が吸い込む「主流煙」だけでなく、周囲の人に害となる「副流煙」が問題もなっています。明日といわず、今日からの禁煙をおすすめします。
 女性の場合、女性ホルモンには血管機能を良好にたもつNOを促進する働きがありますが、喫煙はその女性ホルモンを抑制してしまいます。また喫煙習慣があると閉経時期が早まるといわれています。
 タバコは依存性がありますから、急にやめられないという人には、ニコチンガムなどを利用して徐々にニコチンからの離脱をはかる方法もあります。禁煙の方法については医師に相談されるとよいでしょう。
 体内のフリーラジカルを抑えるものとしてビタミンC、ビタミンEなど抗酸化物質を含んだ果物や緑黄色野菜を食するとか、運動をすることで血流を増やし、血管内皮からのNOを増やすといったことも日常、心がけるとよいでしょう。


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