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高齢者の心不全

心不全とはなにか

死亡原因としてよく目にする「心不全」は、病気の名前ではありません。心不全とは、心臓に何らかの異常があり、心臓のポンプ機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態をいいます。心臓は無理して血液を送り出そうとしますが、こうした状態が続くと、心臓はやがて疲れて、バテてしまいます。このように、心不全はひとつの病気ではなく、心臓のさまざまな病気(心筋梗塞、弁膜症、心筋症など)や高血圧などにより負担がかかった状態が最終的に至る“症候群”なのです(図3)。心臓から血液が全身にうまく回っていかなくなると、心臓はなんとか血流を保とうとして、たくさん血液を溜め込むようになり、左心室の上流にある肺の血管に血液がうっ滞するようになります。こうなると、動くと苦しいといった症状(“労作時息切れ)”が現れるようになります。また、全身の血管の血液のうっ滞は、むくみ(浮腫)を引き起こします。

図3:心不全の原因は?

図3:心不全の原因は?

心不全には、急性心筋梗塞や過度なストレスにより、急激に心臓の働きが悪くなる「急性心不全」と心不全の状態が慢性的に続く「慢性心不全」があります。急性心不全は命の危機にさらされることもありますし、慢性心不全が急に悪くなり、しばしば入院治療が必要な急性心不全に移行することもありますが、入院のたびに全身状態が低下していくため、高齢者ではとくに注意が必要です。

心不全の症状には、収縮機能、つまりポンプで血液を送り出す機能が低下することに伴って、全身の臓器に十分な血液が行き渡らないことから起こる症状と、拡張機能、つまり全身の血液が心臓に戻る機能が弱くなり、血液がうっ滞することによって起こる症状があります。ポンプ機能低下による症状としては、疲労感、不眠、冷感などがあり、血液のうっ滞による症状には、息切れ、呼吸困難、むくみ(浮腫)などがあります(図4)。最初のうちは、階段や坂道などを登ったときに息切れする程度ですが、進行すると、少し歩いたり、身体を動かしたりするだけでも息苦しくなります。そして、もっと悪化すると、安静にしていても症状が出るようになり、夜中、寝ているときでも咳が出たり、息苦しさで寝られなくなることもあります。こうした症状は、身体を起こした姿勢だとよくなるのが特徴で、こうした「起座呼吸」まで進んでしまうと即入院が必要です。また、心不全の進行に伴って、不眠症や疲れやすいといった全身症状にも悩まされるようになります。

図4:心不全の症状

図4:心不全の症状

最近、とくに高齢者で、収縮機能が保たれた心不全(拡張不全)が多いことがわかってきました。血液を取り込む力が衰え、静脈や肺、心臓などに血液が溜まりやすくなってしまうもので、通常の検査では見つかりにくく、決め手となる治療法が限られるといった特徴があります。

また、高齢者の心不全では、こうした自覚症状がはっきりと現れにくく、息切れなどの症状があっても、「年のせいだから仕方ない」「体力が落ちただけ」と見過ごしてしまいがちです。放置したまま重症化してしまい、夜中に呼吸困難を起こして救急車で運ばれてくる患者さんも少なくありません。

息切れや動悸は、狭心症や不整脈など、ほかの心臓の病気が隠れていることもあります。これまで普通にできていた動作ができなくなった、急に体重が増えた、動悸や息切れが増えたと感じたら、心不全を疑って早めにかかりつけ医に医師に相談してください。

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